ノエルにカミュ « Je me révolte, donc nous sommes. » |
時間が止まったようなノエルの朝、雨が静かに降っている。次第に日の光が見え始める。少し考えをまとめるつもりで散策へ。1時間ほど歩くも開いているカフェは一軒もなし。見事に。マクドも閉まっている。最後に目に入ったトルコ系のサンドイッチ屋さんに入り、いくつかファイルを読む。
夜、日本に発つ前のシャルル・ド・ゴールで仕入れた Le Nouvel Observateur を手に取り、カミュの特集を読む。エディトリアルの他に、娘カトリーヌさんの新刊本を基にしたカミュの人生の紹介、哲学者にして社会学者のジグムント・バウマンさんと南アフリカの作家アンドレ・ブリンクさんの対論、それにカミュ関連の本の紹介と盛りだくさん。その中から印象に残ったところをいくつか。
1960年1月4日。カミュはミシェル・ガリマールの運転する自動車事故で即死。46歳だった。
[Dans son cartable, le manuscrit inachevé du « Premier Homme », dédié à celle « qui ne pourra jamais lire ce livre », sa mère.]
(彼の鞄には、この本を決して読むことができないであろう彼の母親に捧げられた「最初の人間」の未完原稿があった)
一つの問に、多くの異なる答え。それは何も驚くことではない。カミュは言っている。
[Tout l'art de Kafka est d'obliger le lecteur à relire.]
(カフカのすべての芸術は読者に再読を迫るものである)
なぜなら、その結末がはっきりとしてた説明を提示していないので、新たな角度からの読み直しを強いるのである。言い換えるとこうなるだろう。
[L'art de Kafka consiste à refuser la tentation d'englober l'inenglobable, de clore des questions vouées à demeurer perpétuellement ouvertes, intrigantes, lancinantes...]
(カフカの芸術は、まとめ得ないものをまとめようとしたり、永遠に答えが出ることのない、一筋縄ではいかない難問を終わりにしようとする誘惑を拒否するもの)だからである。それこそ、カミュが不滅の思想のモデルとして描いたもので、彼自身をそこに重ねていたのかも知れない。(ジグムント・バウマン)
カミュは、その精神が自らを観察する人をインテリと定義した。(ジグムント・バウマン)
« Dans la misère de notre vie sur terre, le suicide est le plus beau cadeau de Dieu à l'homme. »
(地上におけるわれわれの生活の悲惨の中で、自殺は人間への神からの最良の贈り物である) (カミュ)
« (La récupération) de Camus par Sarkozy est idiote et scandaleuse. La politique sarkozyste est anticamusienne au possible. Camus, qui n'a jamais appelé à voter que pour Mendès France, n'aimait pas fréquenter les hommes politiques, qu'il considérait comme "des hommes sans idéal et sans grandeur". » (Jeanyves Guérin)
(サルコジによるカミュの復権は馬鹿げていて破廉恥でもある。サルコジ政治はカミュの姿勢とは全く相入れない。マンデス・フランスにだけ投票するよう呼び掛けたカミュは、理想も偉大さもない人間と考えていた政治家と頻繁に会うのを嫌っていたのです) (カミュ辞典を出版したばかりのジャニヴ・ゲラン)