冬の夜のバルコン |
ひと段落して真夜中のバルコンに出る
もう欠け始めた月が天上で青白い光を放っている
最初は数個しか見えなかった振動する光が十個、二十個とふえてゆく
紀元2世紀、アレクサンドリアの賢者プトレマイオスはこの地球こそ世界の中心と考えた
その後14世紀にもわたって、彼の考えが真理であり続けた
われわれの見方を支配し続けた
そしてこの夏、クラクフで会ったばかりのコペルニクスが革命を起こす
さらにガリレオは望遠鏡で月を観察し、そこにも山や谷があることを見つけ
地球も月と同じに惑星に過ぎないと考えるようになる
空からの光を見ることはわれわれの過去を見ること
20年ほど前のアフリカの夜空は美しかった
そして過去がこぼれ落ちそうなくらいに近くに見えた
冬の夜のバルコン
自然の中に一人放り出されたような感覚が襲う
想像が縦横に巡る
*ところで、ポーランド旅行の記事にあるアウシュビッツ訪問の日の写真が、なぜか異常に青い。気のせいだろうか。