スタンダール18歳の日記から |
先日横目に入り手に入れたスタンダールの日記。1801年のところを読んでみた。18歳になるのだろうか。軍隊でイタリアに行っていた頃のこと。よく移動している。驚いたのは、体の訴えが多いこと。特に発熱はほとんど毎日あったのではないだろうか。年の最後に信頼するお医者さんの見立てが出てくる。それによると、日常的な病気は憂鬱な気分にあるので、とにかく運動と仕事をたっぷりして一人にならないこと。鬱病の気があるとも言われたようだ。それから英語やクラリネットを習っていて、クラリネットの先生などは役立たずだと言って首にしたりしている。
霜月29日(12月20日)には、なぜか自らの歴史を書いている。
1783年1月23日グルノーブルのヴュー・ジェズイット通りに生まれる。
共和暦8年(1799年)霜月8日にパリに向け出発する。
同月19日、パリ着。
5か月と28日後の花月17日にパリを出て、同月28日ジュネーブに着く。
牧草月3日、ミラノに出発。
共和暦9年(1800年)葡萄月1日には陸軍少尉に任命される。・・・
若きスタンダールは、こんなことも言っている。
「人生のほとんどすべての不幸は身に起こったことを正しく理解しないことから来る。したがって、人間を深く知ること、出来事を良識を以って判断することが幸福への第一歩である」
よもやスタンダールの日記など読むことになろうとは思っていなかったためか、これまでどこにも存在しなかった人物がむっくと起き上がってくるような印象があり、痛快な時間である。