ジュール・ホフマンさんのお話を聞き、久しぶりのフランス語 |

今日は午後からストラスブール大学のジュール・ホフマンさんのお話を聞き、その後籠るという予定。ホフマンさんはショウジョウバエを対象にして免疫の研究をされ、それまで低く見られていた自然免疫という特異性も記憶もない機構の重要性を明らかにし、それ以来世界をリードする成果を挙げている研究者である。研究の盛んな日本とのコンタクトも多い方で、昨年の慶応医学賞の受賞者でもある。セミナーの始まる前に少しだけお話をする。実は昨年アメリカと日本でお話を聞いている。そのことを話すと、それじゃもうすっかりわかっているでしょうとの反応があったので、そこからどういうことを考えているのかというところに興味があり聞きに来たのだと伝えると、表情が引き締まった。
お話には確かに新しいことはなかった。一通り質問が続いた後、こちらに質問が回ってきた。ところが、である。私が話始めると、言っていることがわからないとのことで身を乗り出してこられた。しかも、ほぼ同時に隣の方からは英語で話してみては、との助言まで。一体どうしたのだろうかとキツネに抓まれたような気分で、軽いショック状態に陥った。間違いなく、訳の解らないことを言っていたのだろう。籠っていたところから世界に引き出されたような感覚が襲い、しばらくすると冷や汗が流れてきた。
このところ数週間は日本語と英語だけでやっていて、フランス語に触れない状態が続いていた。そのため、フランス語を始めた当時の悪い癖である、こちらのフランス語がわからない方がおかしいとでもいうような言葉を学ぶ者としては最悪の態度になっていたのだ。私の場合にはフランス語の世界に意識的に入って行って、その枠の中で言葉を組み立てるようにしないと通じるフランス語にはならない。もはや発音はどうにもならないだろうが、せめて言葉としてまともな構造を構築できるようにしなければ、と殊勝な気持ちも出てきた。そのために一番いいのは、しばらく日本語や英語を断つことかもしれない。少し考えてもよいかもしれない。


