白川静の世界に入る前に |

お名前は知っていたが、これまでその中に入る機会はなかった。今回、その世界を外から触れてみたい気になり、この本を手に取った。
白川静読本 (2010年、平凡社)
漢字を読み解く時に時間的・歴史的な視点を入れているので、文字に込められた物語が浮き上がってくる。その背景には、古代人の自然・神・霊的なものと一体になった生活があったという大きな仮説があることが見えてくる。経歴を見てみると、所謂アカデミズムの中心を歩んできたとは言い難く、むしろ学会の主流からは批判され、あるいは黙殺されていたようだ。精神的には野にあり、学会の政治とは距離を取り、自らの内なる問いを最後まで追い掛けた人生だったのではないだろうか。気持ちが無限に広がるような出会いであった。


