ジュリエット・レカミエという女性 Juliette Récamier |
今朝、ラジオを聞いている時にこの方が蘇ってきた。最初は気付かなかったが、彼女の名前が繰り返されるうちに、その名前を初めて聞いた2年前の11月のある冬の日のことが浮かび上がってきた。その日、日本から来られたS先生とパリを散策していた。夕方に近くなり、そろそろ食事をする場所を決めなければならなくなった時、先生からよくもてる女性だったという彼女の名前の付いたレストランがあるとのお話が出て、寒い中歩いて向かった。残念ながら別のレストランでの食事となったが、、
調べてみると、160年前の今日亡くなっていたことがわかった。嬉しいことに、先日触れたばかりのジャック・ルイ・ダヴィッドが彼女を描いている。命日に彼女の人生をざっと眺めてみたい。
Juliette Récamier (née le 3 décembre 1777 à Lyon et morte le 11 mai 1849 à Paris)
リヨンの裕福な家に生まれる。彼女が生きた時代はフランス革命とその後目まぐるしく体制が変わる激動の時代。15歳で結婚するが、そのお相手は母親の愛人だった銀行家ジャック・レカミエ。生物学的親子の結婚になるが、実質的な結婚生活はないもので (marriage blanc)、明日をも知れぬ時代にジャックの財産を彼女に相続させるためだったようだ。彼女が開いたサロンに数々の名士が顔を出し、親交を結ぶ。
ナポレオン体制に反対していた彼女は1811年、パリを追われ、リヨンを経てイタリアへ。1815年には夫が破産し、スイスのスタール夫人のところへ。そして最後はすべての財産がなくなったのか、1819年からパリの修道院(Abbaye-aux-Bois)に引き籠る。そこにも時の名士が訪問するが、中でも特に熱心に通ったのがシャトーブリアン (4 septembre 1768 - 4 juillet 1848) であった。二人の親密な友情は彼女が71歳で亡くなるまで続いたという。