あるマティネ Une matinée |
ポール・シニャックのこの絵のタイトルにある場所がすぐに読めなかったが、「レザンドリー」。ところで、週の初めのある朝、La Posteに荷物を取りに行く。列で待っている時、映像が流れている画面に目が行った。そこでしばらくの間ヨーロッパ各地の景色をぼんやりと眺めていた。そしていつしか、十年以上前に北イタリアであった学会に向かう途中で滞在したミラノのことが頭に浮かんでいた。そのホテルでよくわからない言葉とともに映し出されていたヨーロッパを見ながら、一体ヨーロッパとはどういう土地なのか、と漠然と考えていたことが思い出された。ヨーロッパは気付かないうちに私の奥深くに謎として仕舞い込まれていたのかもしれない。
外に出ると金管やドラムの音が聞こえてくる。これから始る何かのために市役所の前で練習している様子。その中の一人に聞くと、消防署長の交代の儀式があるという。少し時間があったので近くのカフェでセット(formuleと書かれてあった)のカフェとクロワッサン(1.90Eとお安い)とともに町の案内書を眺める。
バンドの隊員は銀ピカの消防士用帽子で、また他の隊員は制服とドゴールが被っていた型の帽子で整列している。式は20分くらいだろうか。一つの紹介があると短いファンファーレが入り、それが繰り返される。小気味よいリズムの中に緊張感が流れる。すべてが終った後、息抜きのような音楽が流れていた。小さな町でこのような儀式が未だに続いているのを見て、贅沢な気分を味わっていた。
郵便物はamazon.frからのもので、中を開けるとよくも注文していたな、と思わせるものばかり。夜更け時にクリックしたものだろう。今すぐどうのというものではなく、私の奥にある興味のままに新たな世界を見ておこうということだったようだ。例えば、ジル・ドゥルーズによる哲学とは、ニーチェ、フーコーなどがあったり、シュテファン・ツヴァイクによる伝記もの、ガレノスやビシャーの著作まで入っている。どこか福袋を開けるような気分になっていた。
ところでこの郵便サービス、いつも配達があったことを知らせてくれない。今回はアマゾンから配達したとの連絡が入っていたのを思い出し調べてみようという気になったのだが、連絡がない時にはそのままになる可能性がある。苦情は出ていないのだろうか。
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17 juin 2015
日本でも本に対する興味はあったのだろうが、それ以外に注意が向かっていたのでご無沙汰していた。その欲求がこちらでは爆発したかのようで、その気持ちは当時と変わらない。ひょっとすると、その気持ちはさらに強くなり、ほとんど中毒状態かもしれない。ただ、今は別の仕事に取り掛かっているので、そのための時間が取れないのは残念である。