加藤周一 「幽霊と語る」 を観る |
興味深い話がいくつか出ていた。言葉は正確ではないが、以下にそのいくつかを。私見も加えてみた。
「幽霊は意見を変えない。そのような地点から現実を見なければ真の批判にはならない」
現実に関与しない立場から見ることにより、その姿がよりよく見えることはありそうである。
その定点のようなものを見つけることが大切になるだろう。
今はその定点を捜す旅の途中なのかもしれない。
「人生に自由でありうる時期がふたつある。ひとつは学生時代で、もうひとつは老人。この二つの自由な精神が共闘すると面白いことができるかもしれない」
社会や仕事が個人に課する締め付けのようなものは想像を超えたものがある。
そこでその圧力に身を任せるのかどうかが問題になる。
二度目の自由を活かすためには、仕事から離れることも大切だろう。
その上で、語り始めること。
専門を離れた人間に立ち返って言葉を発すること。
そうすることでわれわれの未来は変わってこないだろうか。
「秋葉原事件のような出来事はどこかから落ちてきたものではなく、この社会の中から噴き出したもの。だから、これからも起こるだろう。その背後にあるのは、不平等」
この不平等は、皆が同じように未来が見えない不平等ではないだろうか。
今の日本、可能性が茫洋と広がっているような社会にはみえない。
ここでも何度か触れたが、お互いに首を絞め合い、わざわざ生きにくくしている社会。
人を無理やりコンフォーミストに追い込む社会。
この問題は毎年の自殺者3万人超とも通じているように見える。
このDVD、最後に日本の空が見える。